ファークライ3

「ファークライ3」のストーリー解説

この記事はストーリーのネタバレを含んでいます。 ファークライ3

このゲームはFPSであると同時に広大な島を探索することができ、楽しめる要素が詰まったゲームです。

一方で物語は複雑で抽象的、そして要所要所に含まれる皮肉など、新たな形でストーリーを提供しているといえるのではないでしょうか。

島を探索し、与えられたミッションをこなし、ヴァースと何度も戦う内に主人公ジェイソンは段々と狂気的な人物に変貌を遂げます。

強がっていても内気で銃を持ったことすらなかったジェイソンは、次第に平気で人を撃ち殺していく人物になっていくわけです。

これはプレイヤー自身と重ね合わせていることで、次第にゲームに慣れてくる内に仕組みがわかり、戦闘のコツを理解していくというのはジェイソンの状態とまったく一緒のことです。

ゲームを進めていくとジェイソンは島に旅行に来た仲間に劣等感のようなものを抱いていることがわかり、捕まった仲間を助けることで強くなった自分を誇示しているかのような気分になっていることも明らかにされます。

これらは宿敵であるはずのヴァースから指摘されるもので、主人公ジェイソンとプレイヤーが一体になっていると考えれば、プレイヤーに対する語りかけであるともいえるのではないでしょうか。

このゲームの物語で大きなテーマになっているのは狂気であり、この場面は自分の狂気を目の当たりにする瞬間でもあります。

物語のポイントで挿入される「不思議の国のアリス」「鏡の国のアリス」からの引用は、主人公が夢の世界に迷い込んでしまったという点を強調するかのようです。

夢か現実なのかわからなくなってしまうような展開、ゲームプレイそのものを皮肉として物語に組み込むなど驚くべきストーリーになっているのです。

ゲームの物語としては非常に実験的な試みですが、ただのアイディアではなくきちんとした意味を持っている、という面では優れた作品ではないでしょうか。

作品紹介

ストーリー解説